秋の香りと、カフェの時間

秋の香りと、カフェの時間

去年の今頃、私はニュージーランドでカフェに勤めていました。そこでは、お客様との会話もとてもフランクで、「今日の天気いいね!」なんて気軽なひと言から話がはじまり、気づけば一緒に笑っている。そんな空気が自然で、肩の力を抜いて働ける毎日でした。仕事というより、コーヒーを通して人と楽しくつながる時間だったのです。
それが今年の秋は東京・代官山。街のリズムはまるで別世界です。電車に乗れば皆さんスマホに集中していて、歩くスピードも速い。カフェでの注文もテキパキしていて、慣れるまでは「東京って本当にせわしないなあ」と少し驚きました。でもその中で、お客様がふと立ち止まってコーヒーを飲んでくださる瞬間を見ると、心のどこかで「ここにいる意味」を強く感じます。

日常の中で見つける秋

東京にきてまだ間もないので、代官山の秋色の街並みを知っているわけではありません。でも、店内で過ごされていたお客様がテラス席を使うようになったことや、温かいドリンクを選ぶ方が増えたことなど、日常のちょっとした変化から秋を感じます。そんな小さな季節の気配が、働く私にとっても「秋が来たな」と感じる瞬間です。

 

季節とともに楽しむ一杯

この季節になると、やはり温かいドリンクの注文が増えます。ラテのフォームから立ちのぼる甘い香りや、エスプレッソの深い余韻は、冷えた指先と一緒に心まで温めてくれます。当店ではお芋のバスクチーズケーキもご用意しており、それを嬉しそうに選ばれるお客様を見ると「秋やなあ」と感じずにはいられません。ニュージーランドではフラットホワイトにマフィン、東京ではカフェラテにバスクチーズケーキ。同じカフェでも、組み合わせる景色や文化でまったく違う表情を見せるのが面白いところです。

せわしなさと、ひと休みの意味

東京のスピードに最初は戸惑ったけれど、今はその中に小さな安らぎを見つけるのが楽しくなってきました。お客様が「ここで一息つける」と笑顔を見せてくださると、こちらまで救われる気持ちになります。ニュージーランドで学んだフランクさを少しだけ混ぜつつ、都会の真ん中で「ほっとする時間」をお届けすること。それが今の私の仕事のよろこびです。
今年の秋は、去年とはまったく違う場所で迎えました。でも、コーヒーが人をつなげ、季節を彩ることに変わりはありません。今日も代官山のカフェで、一杯のコーヒーを丁寧に淹れながら、訪れた方の笑顔に寄り添っています。

 


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